PTA会費と学校徴収金の整理
― 会費の性質と学校による取扱いをめぐる制度整理 ―
― 会費の性質と学校による取扱いをめぐる制度整理 ―
本ページでは、PTA会費と学校徴収金の違いについて、制度および会計上の観点から整理します。PTA会費は任意団体であるPTAの内部費用である一方、学校徴収金は学校が教育活動のために管理する金銭と整理されます。本ページでは、両者の性質の違いを確認したうえで、学校によるPTA会費の取扱い(いわゆる代理徴収を含む)がどのように位置づけられているかを整理します。
PTA会費は、PTAという任意団体の運営や活動に必要な費用として、会員が負担する内部的な費用です。このため、PTA会費には次の特徴があります。
PTAの会員であることが前提となる
団体の内部規約(会則等)に基づいて定められるする公的資金ではない
会費の負担は、加入の成立と密接に結びついています。
学校徴収金は、学校が教育活動を行ううえで必要となる費用について、保護者から徴収し、学校が管理する金銭を指します。一般的には、
教材費
行費
給食費
などがこれに該当します。
学校徴収金は、学校の教育活動の一環として管理される金銭であり、任意団体であるPTAの会費とは、制度上の性質が異なります。
PTA会費と学校徴収金の違いは、単に「使い道」や「金額」の違いではありません。重要なのは、
管理主体が誰か
徴収の根拠が何か
支払いが義務か任意か
という点です。
PTA会費は、PTAという団体の内部費用であるため、加入していない者に対して当然に支払義務が生じるものではありません。
実務上、PTA会費が、
学校徴収金と同時に案内される
同一の口座引落しで徴収される
学校を通じて集金される
といった運用が見られることがあります。しかし、このような取扱いは、
PTAが任意団体であること
学校が行政機関として公私の区別を求められること
との関係で、慎重な整理が必要となります。
学校がPTA会費の徴収に関与する場合、しばしば「代理徴収」という言葉が用いられます。ただし、ここで重要なのは、
誰の名義で徴収しているのか
加入・不加入の確認はどのように行われているのか
同意はどの主体に対して与えられているのか
といった点です。単に実務上の便宜のみを理由として、制度上の整理を曖昧にすることはできません。
PTA会費の取扱いは、「PTA加入がどのように成立しているか」という論点と不可分です。
加入の意思表示が明確でない場合、
会費を支払う義務があるのか
支払われた会費の性質は何か
といった問題が生じます。
この点については、論点①「PTA加入の考え方」で整理した前提を踏まえる必要があります。
PTA会費と学校徴収金の整理は、次の論点とも密接に関係しています。
個人情報の取扱い(加入・非加入の把握)
教職員の関与と職務の範囲(徴収事務への関与)
学校・教育委員会の責任と限界(運用の是正主体)
▶ PTA加入の考え方
加入の成立と会費負担の前提を整理しています。
▶ 個人情報の取扱い
会費徴収に伴う名簿・情報管理の整理はこちら。
▶ 教職員の関与と職務の範囲
徴収や案内に教職員が関与する位置づけを整理します。
▶ 学校・教育委員会の責任と限界
学校による会費取扱いの行政上の整理はこちら。
本ページは、
PTA会費をめぐる問題を「善意」や「慣例」ではなく、制度・会計・行政運営の観点から整理するための基礎資料です。
個別事案の是非を断定するものではなく、後続する論点を理解するための整理として位置づけています。
この論点から派生する制度上の整理
▶ 会費負担の前提となる「PTA加入の成立」
(PTA加入の考え方)
▶ 会費徴収に伴う名簿・個人情報の取扱い
(個人情報の取扱い)
▶ 会費案内・徴収に教職員が関与する位置づけ
(教職員の関与と職務の範囲)
▶ 学校による会費取扱いの行政上の責任
(学校・教育委員会の責任と限界)