1. 提言の目的と背景
本提言は、長年の慣行となっている「みなし加入」や「学校による会費の抱合せ徴収」が、保護者間の不和や子どもへの差別(教育上の支障)を招いている現状を是正するために作成されました。 PTAを「強制されるもの」から「自発的に参加するもの」へと再生させ、真に子どもを支えるパートナーとなるための道筋を示しています。
2. PTA運営における構造的違法性の指摘
現行の多くのPTA運営は、以下の法的観点から極めて不適切な状態にあると分析しています。
PTA加入は金銭的負担や役務提供を伴う「契約行為」です。 明確な意思確認がない「みなし加入」は契約不成立であり、徴収した会費は不当利得(民法703条関連)として返還対象になり得ます。
PTAは「事業者」としての性質を帯びており、任意性を告げずに入会を既成事実化する行為は、不利益事実の不告知として意思表示の取消対象となります。
学校が保有する個人情報を、保護者の同意なくPTA会費徴収(目的外利用)に利用することは違法です。
教職員がPTAの事務(名簿提供や会計事務)を勤務時間中に行うことは、守秘義務違反や職務専念義務違反に該当するリスクがあります。
3. 「みなし加入」と「代理徴収」の負の連鎖
「全員加入」という誤った前提があるために、PTAが自ら会員管理や会計を行わず学校に依存する「学校代理徴収」という非正規的な慣行が成り立っています。
この構造が、さらなる任意性の形骸化と法的リスクの増大を招く悪循環を生んでいます。
4. 教育委員会への主要な提言
教育委員会は「不当な干渉」を避けるという名目で問題を放置せず、法令遵守の観点から以下の措置を講じるべきです。
入会手続きの厳格化
入会申込書および退会届の提出を必須とし、任意性、目的、会費使途、非会員への差別がないことを明記した上で、書面で意思確認を行うこと。
会計の完全分離
PTA会費の学校代理徴収を原則停止し、PTA自らが徴収を行う体制へ移行させること。
教育上の支障への対応
非会員家庭への差別的扱いがある場合、学校施設の利用制限(学校教育法137条に基づく)を含む段階的な是正措置を講じること。
継続的な監査と研修
PTA関係者や教職員に対し、法的側面に関する研修プログラムを設置し、運営の透明性と公平性を担保すること。
本稿は、公立学校がPTA会費を給食費等の学校徴収金と合算し、または保護者の口座情報を流用して代理徴収する慣行について、個人情報保護法制および地方自治法制を中心に、その行政適合性を検証するものである。
検証の結果、学校によるPTA会費代理徴収は、
①個人情報保護法第61条・第69条に反する所掌事務外の個人情報保有・目的外利用、
②地方自治法第235条の4の趣旨に反する公金と私費の混同、
③地方公務員法第35条との関係における労務・責任帰属の不整合、という少なくとも三重の法的瑕疵を内包していることが明らかとなった。
これらの問題は、単なる手続改善や同意書の取得、要綱整備によって解消されるものではない。PTAは行政作用の射程外にある任意団体であり、その会費徴収は学校の法定所掌事務に含まれない以上、個人情報の保有・利用、現金の管理、職員の労務投入のいずれにおいても、制度的な「壁」を越えることができない。
特に、個人情報ファイル簿への不記載という実態は、PTA会費徴収がそもそも行政事務として制度設計されていないことを強く示唆しており、行政が「当然の業務」として継続すること自体が説明不能である。
以上から、本稿は、現行法体系の下において学校によるPTA会費代理徴収を適法な行政行為として構成することは不可能であり、各教育委員会は速やかに当該慣行を停止し、PTA自身による自主的・自立的な会費徴収へ移行すべきであると結論づける。
学校によるPTA会費代理徴収の法的瑕疵と構造的不可能性に関する考察:PDF
本論考は、公立学校において教職員が勤務時間中にPTA(任意団体)の業務に恒常的に関与している実態について、地方公務員法第35条(職務専念義務)を中心に、行政法・財務会計法・個人情報保護法・憲法の観点から総合的に検証するものである。
検討の結果、PTAは学校・教育委員会とは法的に独立した任意団体であり、その会計・庶務・会員管理等の内部事務は「地方公共団体がなすべき責を有する職務」には含まれないことが、昭和39年自治省行政実例および文部科学省の公式見解により明確である。したがって、教職員が勤務時間中にこれらの業務に従事する行為は、原則として職務専念義務違反を構成する。
また、これを回避する手段として用いられてきた「校務化」や「職務専念義務免除(職専免)」についても、PTA業務の私益性・恒常性・業務量の観点から制度的に成立し得ず、むしろ違法な公金支出(人件費)として、住民監査請求・住民訴訟の対象となる法的リスクを内包することを示した。
さらに、PTA業務への関与は、地方自治法第235条の4に反する公金と私費の混同、個人情報保護法上の目的外利用、憲法21条が保障する結社の自由の侵害とも密接に結びついており、単なる服務規律違反にとどまらない「構造的違法状態」を形成している。
本論考は、川崎市・横浜市の最新動向を分析しつつ、現行の「学校依存型PTA運営」が法制度上すでに限界に達していることを明らかにし、教育行政が直ちに是正へ踏み出すべき不可逆的段階にあることを結論づけるものである。
公立学校におけるPTA業務従事と地方公務員法第35条「職務専念義務」の法的抵触に関する包括的論考:PDF
本申入書は、市内公立学校においてPTA(社会教育関係団体)が、学校施設・教職員・個人情報等の公的資源を恒常的に利用し、その結果として違法な公金支出が発生している実態について、教育長に対し地方教育行政法に基づく是正措置を正式に求めるものである。
具体的には、教職員が勤務時間内にPTA会費徴収や会員管理等の事務に従事することにより、地方公務員法第35条に反する人件費の不当支出が生じている点、ならびに紙・印刷・通信等の消耗品費が議会の議決を経ることなく特定の私的団体に提供されている点を、地方自治法第232条の2に照らし違法な財産上の補助として特定した。
また、これらの行為は、個人情報保護法第69条に反する目的外利用、憲法21条が保障する結社の自由および民法上の契約自由の侵害とも密接に関連しており、教育行政全体の中立性・公平性を著しく損なうものである。
にもかかわらず、教育長が組織的な実態調査や是正指導を行わず、長年にわたりこれを放置してきた場合、その責任は単なる指導不足にとどまらず、監督権限不行使という行政不作為として、住民監査請求および国家賠償請求の対象となり得る。
本 申入書は、違法状態の即時停止を求める臨時措置と、学校とPTAの関係を恒久的に是正するガイドライン整備を併せて要求するものであり、期限内に誠実な対応がなされない場合には、法的措置へ移行することを明示する最終段階の文書である。
公立学校におけるPTA運営適正化と違法な公金支出是正に関する最終申入書:PDF