― 川崎市教育委員会規則改正の検証と地方公務員法第35条との整合性 ― ▶
PTA適正化推進委員会 研究班
令和8年1月
川崎市教育委員会は令和3年11月16日の臨時会において、PTA会費の収納・振替事務を学校の校務として明確に位置づける規則改正を行ったcity.kawasaki.jp。これは、市民オンブズマンから「PTAという任意団体の会費を学校職員が扱う明確な法的根拠が必要」と指摘されたことを受け、従来から行われていた業務に法的根拠を与える試みであるcity.kawasaki.jp。本稿では、地方公務員法第35条の職務専念義務との整合性を軸に、「委任による正当化」(PTAからの委任状に基づく業務)や 「慣行による正当化」(従前からの慣習に基づく業務)によってPTA会費収納業務を校務とすることの法的妥当性を検討する。川崎市の事例に限定し、法令(地方公務員法等)や行政実例・解釈(昭和39年自治省見解、平成24年文科省・自治労交渉結果など)を踏まえ、教育現場における業務適正化の観点からPTA関連業務の校務位置づけの是非を総合的に評価する。
地方公務員法第35条(職務専念義務)の原則: 地方公務員法第35条は、公務員は「法律又は条例に特別の定め」がない限り、その職務専念義務として勤務時間中は「当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事」すべきことを規定している(地方公務員法第35条)。この規定により、教職員は本来、地方公共団体(教育委員会や学校)が責任を負うべき公的業務以外には従事できない。したがって、PTA会費の収納業務が「地方公共団体がなすべき責を有する職務」に該当するか否かがまず問題となる。
「職務」と「校務」の定義: 文部科学省の中央教育審議会資料(2006年11月、資料1)によれば、「職務」とは「校務」のうち職員に与えられた任務・役割を指し、例えば児童生徒の教育、教務・生徒指導・会計等の事務、非常災害時の業務などが含まれる(資料1・2006年11月「教員の職務について」)。
一方で「校務」とは学校の仕事全体を指し、学校の目的である教育事業を遂行するために必要な全ての仕事を包含する概念である(同資料)。校務の具体的範囲には、(1)教育活動、(2)施設設備管理、(3)学校内部事務(文書・人事・会計等)、(4)渉外(教育委員会やPTA・社会教育団体との連絡調整)等が挙げられている。
この定義上、PTAや各種団体との連絡調整は校務の一部とされる。
しかし、PTAの内部事務(会費の徴収管理など)が直ちに校務=職務に含まれるとは限らず、その位置づけには慎重な解釈が必要である。職務専念義務の観点からは、当該業務が「地方公共団体が責を負うべき職務」であるかどうかが問われ、単に学校運営上関係があるというだけでは不十分で、「法律又は条例」による根拠付けが求められる。
法令および行政解釈の検討材料: PTA会費収納業務の職務性について直接の成文法規定はないため、以下の行政解釈・実例が判断枠組みとなる。
昭和39年自治省給与課長見解(資料2): 地方公務員法実例判例集に収録された昭和39年1月20日付自治省給与課長の回答では、「一般にPTA、同窓会など任意団体の事務は地方公務員法第35条に規定する『地方公共団体がなすべき責を有する職務』には含まれない」と明確に解されている(資料2・昭和39年1月20日自治省給与課長回答)。
この見解によれば、PTA等任意団体の業務は原則として公務員の職務には該当しない。またこの照会では、副次的に「仮に職務に該当するとして職員が時間外にPTA業務を行った場合に超過勤務手当を支給できるか」「PTA側から報酬(手当)が出ている場合はどうか」といった点も問われたが、回答は「職務に当たらない以上、時間外勤務手当の支給はできず、地方公務員でない者に給与支給もできない」としている。この昭和39年見解は、任意団体の業務は公務員の職務ではないとの原則を示すものであり、現在でも地方公務員法35条の解釈の基本と考えられる。
平成24年文部科学省・自治労交渉結果(資料3): 2012年7月18日に行われた文科省と自治労学校事務協議会との交渉において、PTA会費業務に関する重要な整理が示されている(資料3・2012年7月18日 文科省・自治労交渉)。
文科省は、「教職員が勤務時間中にPTA会計業務等の業務に従事することは地方公務員法第35条に違反する」と明言しつつ、「ただし、学校徴収金(学級費、給食費等)に係る業務については、学校教育活動に付随する公務という整理をしており、職務専念義務違反とは考えていない」と回答している。ここで言及された「学校徴収金」とは、公教育の一環として徴収される学級費・給食費等を指し、これらは教育活動に付随する公的な金銭取扱事務である。
一方、PTA会費は「公教育の学校徴収金」ではなく純粋なPTA(任意団体)の私費であるため、文科省は勤務時間中にPTA会費業務を行えば職務専念義務違反になるとの立場を示したものと解される。
これは昭和39年の自治省見解と軌を一にするものであり、近年においてもPTA会費業務は公務員の本来的職務に当たらないとの整理が維持されているといえる。なお、交渉では学校徴収金の取扱いについて地方自治法第210条・第235条の4第2項(公金の取扱い原則)遵守の必要性も指摘されており、学校での金銭取扱いには地方財政法規との整合性も問題となる(後述)。
以上を踏まえ、本件では「法律又は条例」の特別の定めが無い中で川崎市教育委員会が規則変更によりPTA会費収納を校務へ組み入れたことの適法性を検討する必要がある。ポイントは、(1)教育委員会規則による校務明確化が法35条の「条例」に相当する根拠となり得るか、(2)PTAからの委任状に基づく業務従事が職務専念義務違反の免責となり得るか、(3)慣行として行われてきた事実が法解釈上どの程度考慮されるか、である。
川崎市教育委員会による規則改正: 川崎市では長年、各学校で教職員(主に事務職員等)がPTA会費の徴収や口座振替の事務を実務的に代行してきた。これは多くの公立学校で見られる慣行であり、教員の業務負担の一因ともなっていた。令和3年、市民オンブズマンから「PTA会費の扱いは任意団体の業務であり、公務員が勤務中に行うには法的根拠が不明確ではないか」との趣旨の苦情・調査が寄せられたcity.kawasaki.jp。この指摘に対し、教育委員会は「PTA会費徴収を学校が引き受ける明確な根拠を規則上設ける必要がある」と判断し、令和3年11月16日の教育委員会臨時会において学校管理運営規則の改正案を審議・可決したcity.kawasaki.jp。
規則改正の内容: 改正されたのは「川崎市立小学校及び中学校の管理運営に関する規則」等であり、各種別の学校管理運営規則に**「PTA会費の収納及びPTA口座への入金事務」を校務として位置づける新規定**(小中学校規則で第14条の2、高校で第22条の2、特別支援学校で第19条の2)が追加されたcity.kawasaki.jpcity.kawasaki.jp。附則では令和4年4月1日施行としつつ、「施行日前であっても準備が整えば当該附則を根拠にPTA会費の収納等を行える」経過措置を設け、実質的に令和3年度内から各校で施行を可能としたcity.kawasaki.jp。この規則改正によって、川崎市はPTA会費の取扱いに関する正式なルールを初めて明文化したことになる。
委任状と手続要綱の整備: 教育委員会の説明によれば、PTA会費事務はあくまで各学校がPTAから「委任を受けた場合」に限り行うとの建前であるcity.kawasaki.jp。石井委員から「委任は書面で行われるのか」と質問があり、担当課長は「委任状という形でPTA代表者から学校(市)に提出してもらう」と答えているcity.kawasaki.jp。実際、規則改正に合わせて「川崎市立学校におけるPTAの会費の取扱等に関する要綱」(教育委員会要綱)が令和4年2月15日付で制定され、委任状様式や具体的手続きが定められた(公開日2023年2月15日city.kawasaki.jpcity.kawasaki.jp)。この要綱第1条には、「川崎市立学校に係るPTAの会費に関し、委任を受ける場合の手続その他必要な事項を定める」旨が掲げられている。つまり、各PTAが希望する場合には書面による正式な委任手続きを経て、学校がPTA会費を預かり収納し指定口座へ振替まで代行する仕組みとなった。教育委員会は、この委任に基づく取扱いを「学校の校務」として行うことにより、教職員が勤務時間中に当該事務を処理しても職務専念義務違反とはならないように整理したと説明しているcity.kawasaki.jp。
教育委員会会議での議論ポイント: 会議録によれば、委員から「今回の改定は現状に即した内容か」との質問に対し、「現在もPTA会費徴収は学校で行っており、それ自体ダメとは議論されていない。ただPTAは独立団体であり、その会費を職員が“頼まれて”集めている状況なので法律上の明確な根拠を作った方が良いとの指摘があり、現状の事務を明確に規則上位置づける改正である」との回答がなされたcity.kawasaki.jp(川崎市教委臨時会議録・令和3年11月16日)。また、「委任に基づく規定なので、PTAからお願いされたら学校がやる公務(校務)となるという理解で良いか」との問いに対し、「PTAは学校とは別団体であり、その会費徴収はあくまで依頼(委任)に基づき行う。それを校務として規則上位置づけることで、公務員の本来業務として正当かつ明確にできる根拠を作る趣旨である」との説明もなされているcity.kawasaki.jp。このように川崎市教育委員会は、「委任に基づき校務として処理する」という形式でPTA会費業務に法的根拠を与えたと主張している。
条例によらない規則での対応: 川崎市の措置は、市議会の制定する条例ではなく教育委員会規則(行政立法)によって職務範囲を定め直すものであった。地方公務員法35条ただし書は「法律又は条例に特別の定め」がある場合に職務専念義務の例外を認めているが、教育委員会規則は条例と同等の立法行為とは位置づけられない。
一般に、条例は地方自治法上、地方公共団体がその権能の範囲で制定する法規であり、教育委員会規則は教育行政に関する事項について委任された範囲で定める内部規則である。条例と規則の法律上の効力階層は異なり、地方公務員法35条の趣旨から言えば、規則で職務専念義務の適用除外を創設することには慎重な検討が必要となる。
委任契約による職務化の限界: PTAからの委任状によって業務を受託した場合、それをもって直ちに「当該地方公共団体がなすべき職務」に転化できるかが問題となる。自治省の昭和39年見解(資料2)は、任意団体の事務は職務に含まれないとする一方、「法律又は条例による職務専念義務免除の承認」がない限り職員が他から報酬を受けることはできないとも述べている。
PTAからの委任に基づく業務の場合、教職員はPTAから直接報酬は受けないが、勤務時間中にその業務を行うこと自体が公務としての職務専念義務の枠内に収まる必要がある。委任契約(ないし協力依頼)それ自体は民事上の取極みに過ぎず、公法上の「特別の定め」には該当しない。川崎市は教育委員会規則で校務に位置づけたが、これは法的には地方自治法上の「規則」による職務権限の明示にとどまり、35条ただし書の「条例」による特例とは異質である。結局、委任と規則の組合せでは法が要求するレベルの根拠(法律又は条例)には達していない可能性が高い。
文科省の整理との齟齬
先述の文科省答弁(資料3)では、PTA会計業務は職務専念義務違反だが、学級費等の学校徴収金は「教育活動に付随する公務」と整理されていた。川崎市が今回PTA会費を校務と位置づけた論理は、「PTAから正式に委任され学校が責任を持って処理する以上、それは学校運営上必要な事務すなわち公務の一部である」というものである。
しかし文科省の整理を踏まえると、PTA会費は教育活動に付随する公務とは言い難い。教育委員会が規則で校務と定めても、文科省や総務省の解釈上は当該業務は依然「任意団体の事務」であり、本来的には公務員の職務に含めるべきではないと評価されるおそれがある。したがって、委任により形式上「学校が責任を負う事務」に仕立てても、それは国の行政解釈に反する独自解釈となり、法的安定性に欠ける。
地方財政法規の問題
PTA会費を学校が集金・保管・振替する行為には、地方自治法第210条「総計予算主義」および第235条の4第2項「公金外現金の保管禁止」の問題も潜む。本来、公金に属しない金銭(私費)は公務員が公的施設・帳簿で保管管理することが禁じられている。しかし実際には、学校徴収金やPTA会費は長年、学校現場で教職員が現金を集めて保管し、後日金融機関へ振り込み/PTAへ引き渡す運用が行われてきた。総務省は学校徴収金について「自治体の事務として行われているのであれば公会計処理すべき」との立場を示しており、PTA会費についても学校が扱う以上同様の論理が妥当する可能性がある。川崎市の規則改正では、公会計化までは行わず「委任に基づく取扱い」として従来通り私費扱いを維持していると思われる。これは地方自治法の原則から見てグレーゾーンであり、規則で校務と定めながら会計上は公金としない二重構造には法的整合性の課題が残る。
広範な慣行の存在: PTA会費事務を教職員が代行する慣行は川崎市に限らず全国的に見られる。しかし慣行が広く存在すること自体は、その行為の合法性を保証するものではない。むしろ昭和39年の自治省見解以来、一貫して「任意団体の業務は本来職務ではない」との原則が示されており、長年黙認されてきた慣行は法規範と現場実態の乖離として問題視すべき事象である。川崎市教委もオンブズマン指摘に対し「以前からそうやってきた」という回答しかできず、根拠不明確であった点を認めているcity.kawasaki.jp。このように慣行はあくまで慣行であって、法的正当化にはならないとの立場に立つ必要がある。
慣行を是とする規則化リスク: 慣行に合わせて内部規則を整備することは、一見すると現実的な対応だが、法令との抵触リスクを内包する。仮に将来、教職員や第三者から「当該規則は地方公務員法35条に反し無効ではないか」等の異議が唱えられた場合、地方公務員法の趣旨・上位法規性からいって教育委員会規則の方が無効と判断される可能性も否定できない。慣行を追認する規則化が法的安定性を高めるどころか、逆に法令違反状態を公式化してしまったと評価されれば本末転倒である。
他自治体の対応状況: 本分析では他自治体との比較は対象外であるが、参考までに言及すると、PTA会費事務の取扱いについては自治体ごとに対応が分かれている。一部では教職員が関与せずPTA役員等が直接会計管理する運用に移行する動きもあり、また文科省も令和3年度末に各教育委員会宛て通知で学校徴収金やPTA寄付金の取扱い適正化を呼びかけている(※川崎市でも令和3年3月に「公費・私費の考え方」と題する文書を発出ameblo.jp)。慣行だからと漫然と続けるのではなく、教育現場の業務適正化・負担軽減の観点からも抜本的な見直しが求められている。
以上より、川崎市教育委員会のとった「委任状+規則」によるPTA会費業務の校務化は、法的には非常にグレーであり、地方公務員法の趣旨との整合性に疑義が残る。職務専念義務の例外を認めるには本来条例レベルの根拠が必要だが、川崎市は条例改正を経ずに教育委員会の判断で対応したため、法35条ただし書きの要件を満たしているとは言い難い。
仮に条例であっても、PTAという本来自治体の所管外の団体事務を公務員の職務範囲に含めることの是非は議論の余地があるが、少なくとも議会の民主的コントロールを経た条例であればまだ手続的正当性は高まっただろう。規則レベルの改変では手続的正当性・法的安定性の担保に不十分である。
また、「校務」という概念は広範とはいえ無限ではなく、教育目的遂行に必要な範囲に限定される。PTA会費の扱いは教育目的そのものとは直接関係しないため、校務の範囲拡張にも自ずと限界がある。教育委員会が内部規則で校務に含めても、国家公務員法や地方公務員法の強行規定(職務専念義務)の趣旨を潜脱することはできず、法体系の中でその規則の適法性が担保されているとは言い難い。
さらに、地方自治法・財政法規との関係でも、川崎市のスキームにはリスクがある。委任によって形式上「自治体が責を負う事務」としながら、PTA資金を公会計に組み入れず処理するのは、制度上の齟齬を孕む(任意団体の資金を公的機関が扱うことの二律背反)。行政実例の撤回等について文科省・総務省間で検討が続いている分野であり、川崎市の独自判断が将来的に見直しを迫られる可能性もある。
川崎市のケースは、現場のニーズ(教職員が窓口となった方が徴収が円滑、保護者も便宜が高い等)と法令上の建前とのギャップを埋めようとする苦肉の策と言える。一方で、法的観点からはPTA会費収納業務を校務とみなすことには無理がある。昭和期からの行政解釈及び平成時代の交渉結果のいずれも、PTA業務は職務に含めないとの明確な結論を示している。
委任状を取る手法も、表面的な契約形式に過ぎず根本の問題(職務か否か)を解決するものではない。慣行の長期化もむしろ問題の深刻さを示すもので、法的正当化には寄与しない。むしろ業務適正化の観点からは、本来業務ではないPTA内部事務から教職員を解放し、PTA自身が責任を持って会費管理する体制への転換こそが望ましい。現に文科省や各自治体で学校徴収金・PTA業務の見直しが進められており、川崎市も今回の規則整備で問題解決とせず、将来的な抜本策を検討すべきである。
川崎市教育委員会がPTA会費の収納・振替業務を校務と位置づけた措置は、形式的には規則整備により現行法制との齟齬を解消しようとするものだった。しかし、地方公務員法第35条の趣旨や国の行政解釈に鑑みると、この措置の法的整合性には疑問が残る。
「委任による正当化」「慣行による正当化」には法的限界があり、PTA会費業務を公務員の職責に含めることは法律上リスクが高い。教育現場の業務適正化・負担軽減の観点からも、教職員は本来業務に専念し、PTA会費管理といった本質的に自治体の「なすべき責」を超える業務からは距離を置くことが望ましい。地方公務員法と教育委員会規則の整合性を確保するには、必要なら法令改正や条例制定といった正攻法で対応すべきであり、安易な内部規則による対応は避けるべきである。総合的に見て、PTA会費収納業務を校務とみなすことの法的妥当性は乏しく、その適切な扱いについては根本的な再検討が求められる。
PTA適正化推進委員会
本研究は、川崎市教育委員会が令和3年11月16日の臨時会において行った「PTA会費の収納・振替業務を校務として位置づける規則改正」について、地方公務員法第35条および確立した国の行政解釈との整合性を検証したものである。
PTA会費の収納・振替業務を「校務」として成立させることは、法的に困難である。
地方公務員法第35条の原則
教職員は「地方公共団体がなすべき責を有する職務」にのみ従事可能。
PTAは任意団体であり、その会費業務は原則として公的職務に該当しない。
確立した国の行政解釈との不整合
昭和39年自治省見解
PTA等任意団体の業務は「職務」に含まれない。
平成24年文科省見解
教職員が勤務時間中にPTA会計業務に従事することは地公法35条違反。
(学校徴収金のみが例外的に「教育活動に付随する公務」)
その他
自治労HP 自治労学校事務協議会 【2013年度 政府予算獲得行動 夏 2012.07.18】
自治労学校事務協議会は7月18日、自治労の第1次政府予算要求中央行動の一環として総務省、文科省、厚労省、外務省と交渉を実施しました。以下概要
【文部科学省】
学校徴収金の取り扱いと定数関係を中心に要請の趣旨説明と意見交換を行い、以下の前進回答を得ました。
1 公教育の学校徴収金(学級費、給食費等)における会計処理については、地方自治法第210条(総計予算主義の原則)、同第235条の4第2項(公会計に属しない現金の保管の禁止)を遵守して行うべきとする総務省の解釈を尊重する。
2 教職員が勤務時間中にPTA会計業務等の業務に従事することは地方公務員法第35条で規定されている職務専念義務に違反する。ただし、学校徴収金(学級費、給食費等)に係る業務については、学校教育活動に付随する公務という整理をしており、職務専念義務違反とは考えていない。
「委任」による正当化の限界
PTAからの委任は私法上の行為であり、公的責任や職務性を創設しない。
教育委員会規則は「条例」ではなく、地公法35条の例外根拠にならない。
慣行の存在は適法性の根拠にならない
長年続いていたこと自体は、法的正当化理由にならない。
違法・不適切な慣行を規則で追認することは、法的リスクを固定化する。
川崎市の規則改正は、「従前の実務を追認し、形式的に根拠を与えようとした対応」にとどまり、地方公務員法および国の確立した行政解釈との整合性を確保したものとは言えない。
PTA会費業務は、原則としてPTA自身が責任を持って処理すべき私的業務である。
教職員の職務専念義務と業務負担軽減の観点からも、
PTA業務と学校業務の明確な分離が必要である。
規則による暫定的整理ではなく、制度全体の再設計が求められる。